- 2025.06.25
- 事業承継
事業承継の成功事例と学ぶべき3つの視点

日本の中小企業では、経営者の高齢化と後継者不在が深刻な課題となっています。事業承継は「いつかはやらなければならない問題」ですが、計画性を持って取り組めば、企業の存続と成長を支える大きなチャンスにもなります。
今回は、事業承継の成功事例を紹介しながら、「親族内承継」「第三者承継(M&A)」「従業員承継」の3つの視点から学ぶべきポイントを解説します。
成功事例1:親族内承継の王道パターン
製造業を営むA社では、創業者の長男が10年間にわたり営業や経営企画を担当し、満を持して代表取締役に就任しました。後継者教育を段階的に行い、事業承継税制の納税猶予制度を活用しながら自社株を贈与。
金融機関や主要取引先にもスムーズに引き継ぎができ、従業員の離職もゼロ。信頼関係とタイミングのバランスが成功の鍵となりました。
成功事例2:第三者承継(M&A)で企業価値を向上
後継者が見つからなかったB社は、同業の上場企業とマッチング。自社の得意分野(地域密着型サービス)をアピールすることで、好条件でのM&Aに成功しました。
従業員の雇用やブランド継続の交渉を重ね、譲渡益については事前に税理士と対策を講じ、課税額も最小限に抑えることができました。
成功事例3:従業員承継での「信頼資産」の活用
創業社長に長年仕えてきた幹部社員に承継されたC社では、従業員や顧客からの信頼を維持したまま、自然な形でバトンタッチが行われました。事業承継計画を10年かけて準備したことで、混乱が一切ありませんでした。
事業承継の3つの視点
- 税務面:贈与税・相続税・譲渡所得税などの影響を事前に把握し、納税猶予制度などを検討する
- 法務・手続面:定款、株主構成、契約関係の見直しと整備
- 人的・心理的側面:従業員や顧客の納得感を大切にし、引継ぎ期間を確保
事業承継は「技術」ではなく「戦略」です。早期に取り組むことが、成功への最大の近道となります。