2024.11.19
税理士

年末調整は税理士に代行してもらうべき?メリットや費用相場を解説

年末調整を税理士に任せたらどこまでやってもらえる?

 

税理士に年末調整の代行をしてもらう場合、一般的に以下の業務を依頼可能です。

  • 年末調整に際して必要な書類の指示
  • 提出した資料に記載された給与・賞与・控除額をもとにした所得税の計算
  • 所得税額と源泉徴収税額の差を計算し、還付・徴収を報告
  • 各種必要書類の作成(支払調書、源泉徴収票、法定調書、給与支払報告書)
  • 年末調整書類を所轄の税務署に提出
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    年末調整に必要な書類を渡せば、所得税の計算から税務署への書類の提出まですべての業務を一任できます。
    ただし、税理士によって引き受けている業務内容は異なるため、依頼する場合には対応している範囲について必ず確認してください。
     

    年末調整は税理士に代行してもらうべき?

     
    社内に経理体制が十分に整っている場合や、年末調整が必要な従業員がそれほど多くない場合には、税理士に依頼しなくてよいかもしれません。

    ただし、従業員数が多く年末調整に膨大な手間が必要となる場合や、税務に関する知識がなく手続きに不安がある場合には、ミスなくスムーズに手続きを済ませるためにも税理士に依頼したほうがよいでしょう。

    特に、中小企業の経営者が自分で年末調整の手続きをしている場合、年末調整にともなう業務の負担を減らして本業に集中できるため、税理士に依頼することを推奨します。

    また、年末調整のアウトソーシング先には、税理士以外にも社労士や年末調整代行サービスなどがあります。

    しかし、年末調整にともなう源泉徴収票や法定調書などの税務書類の作成や、所轄の税務署への書類提出などの税務代行は、税理士の独占業務に定められているため、年末調整を代行してもらう際には税理士に依頼することが一般的です。
     

    社労士は年末調整をできない?

    社労士は、主に雇用保険、健康保険や厚生年金保険などの社会保険に関する申請書類や帳簿書類の作成・提出を独占業務として行っています。

    そのため、年末調整において、給与額を計算したり、算定基礎届や月額変更届、労働保険に関わる書類をチェックし、社会保険料控除を正しく計算したりすることは可能です。

    しかし、年末調整に伴う源泉徴収票や法定調書の作成・提出は、税理士の独占業務に該当するため、社労士が行うと違法となり罰則が課せられてしまいます。
     

    年末調整を税理士に依頼するときの費用相場

     

    年末調整は従業員数に応じて業務負担が変動するため、費用については基本料金と従業員数に応じた追加費用で設定されていることが一般的です。

    基本料金については、企業の売上規模や従業員数にかかわらず、1〜3万円程度が相場となっています。

    これに追加で従業員数に応じた費用がかかり、従業員一人あたり1,000円から3,000円程度が相場です。

    また、相談する時期が年末に差し迫ったタイミングであれば、追加で2〜3万円程度が課されることがあります。

    税理士によっては、支払調書や法定調書合計表の作成についても別途費用を設定している場合があるため、税理士に年末調整を依頼する場合には、複数の税理士事務所から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
     

    年末調整を税理士に依頼するメリット

     

    年末調整の業務は自社で行うことも可能ですが、多くの書類のチェックや複雑な計算が生じ、膨大な手間と時間がかかります。そのため、年末調整は税理士に依頼することが多いです。

    以下では、年末調整を税理士に依頼するメリットを3つ紹介します。
     

    年末調整を正確にミスなく行える

    年末調整では、従業員から提出してもらった書類をもとにそれぞれ所得税を計算するだけでなく、支払調書や源泉徴収書、法定調書合計表、給与支払報告書など、複数の書類を作成する必要があります。

    複雑な計算や書類上に見慣れない項目も多く、専門知識のない人が行うと時間がかかるだけでなく、ミスをしてしまう可能性が高いでしょう。

    所得税の計算を間違えると、税務署から年末調整のやり直しを通知されて追加で所得税を徴収する必要が生じたり、過大に従業員の所得税を納めてしまうリスクがあります。

    そのため、税務のプロである税理士に依頼すれば、ミスなく正確に年末調整業務を完了させられます。
     

    業務負担の削減に繋がる

    また、年末の一定期間のみ業務量が増えますが、スポット的に専門的な人材を補充するのは困難なことが多いです。経理人員を追加で補充する場合にも、最低で月に20万円程度の報酬を支払う必要があるため、費用負担が大きくなります

    さらに、毎年一度のみしか発生しない業務のため、引き継ぎ・教育も難しいとされています。

    従業員が100人程度であれば、同じ20万円ほどで税理士に年末調整をアウトソースできるので、社内リソースを効率的に活用するためにも、積極的に税理士の活用を検討するとよいでしょう。
     

    節税に繋がることがある

    年末調整を税務のプロである税理士に依頼することで、節税の相談をできる点もメリットの一つです。
    場合によっては、従業員の所得税負担を軽減し、給料を増額せずとも手元に残るお金を増やせる可能性もあります。
    必ず節税につながるとは限りませんが、一度税理士に相談してみるとよいでしょう。
     

    年末調整を税理士に依頼する流れ

     

    税理士に年末調整を依頼する場合、11月から1月にかけて業務が進められることが一般的です。
    そのため、年末調整を依頼する税理士を探す場合には、10月までには探しておく必要があります。
    また、税理士に年末調整を依頼する場合、企業側が対応しなければならないものもあるため、スムーズに進めるためにも事前に流れについて把握しておきましょう。
     

    11月上旬:必要書類を税理士に提出(企業側)

    11月上旬には、年末調整に必要な書類を従業員から回収し、税理士に提出します。
    必要書類については、通常、会社が揃えるべき書類に漏れがないように、税理士から事前に案内が提供されます。
    このタイミングで提出を求められる書類は、主に以下の通りです。
     

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 保険料控除申告書、控除証明書
  • 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 源泉徴収票(転職者)
  • 住宅借入金等特別控除申告書、借入残高証明書
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    転職者は前の職場の源泉徴収票が必要となりますが、発行に時間がかかる場合もあるため、早めに従業員からの書類の回収を準備しておくとよいでしょう。
     

    11月下旬~12月:年末調整業務(税理士)

    11月下旬から12月にかけて、提出した書類をもとに税理士が年末調整業務を行います。
    給与額や控除額、所得税額の算出から源泉徴収票の作成や法定調書の準備まで、年末調整に関わる一連の手続きを担当してもらえます。
     

    12月~1月:税金の納付及び還付(企業側)

    12月〜1月にかけて税理士が法定調書合計表を作成するため、その内容に応じて会社は1月10日(納期の特例の場合は1月20日)までに年末調整後の源泉徴収税の納付・還付をします。
    税務署や市区町村への書類の提出、源泉徴収税の納付・還付がすべて終われば年末調整業務は終了です。
     

    まとめ

     
    税理士に年末調整を依頼することで、正確で効率的な手続きが可能となり、経営者や経理担当者の業務負担や人件費を軽減できます。

    そのため、自社で経理体制が整っていない場合や従業員数が多い場合には、積極的に税理士への依頼を検討すると良いでしょう。

    年末調整を税理士に依頼する場合には、年末が差し迫ってから税理士に年末調整を依頼すると費用が高くなってしまうため、事前に流れを把握し準備しておくことが重要です。
     

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