- 2021.04.06
- 確定申告
雑所得は確定申告が必要?確定申告書への書き方や経費の範囲を解説
雑所得とは?
・利子所得
・不動産所得
・給与所得
・退職所得
・譲渡所得
・事業所得
・配当所得
・山林所得
・一時所得
確定申告の際によく耳にするのが雑所得ですが、どんなものか良くわからない人も多いのではないでしょうか。
所得税法では、所得について利子所得・不動産所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・事業所得・配当所得・山林所得・一時所得の9つに分類されています。雑所得とは、分類されたものに属さない所得のことを言います(表記上はその他となります)。
例えばサラリーマンが仮想通貨で得た利益は、9つのどれにも当てはまらないため、その他の所得となります。
雑所得は、公的年金と公的年金以外のものに分類されます。後者は仮想通貨で副収入を得たなどの、その他の所得に当てはまります。株式で稼いだ場合、譲渡に分類されますので、たとえ副業で得た場合でも区別されます。
雑所得の例
・公的年金
・アフィリエイトでの収入
・インターネットオークションの収入
・原稿料
・印税
・講演料
・FX取引等による所得
・外貨建預貯金の為替差益
では雑所得のにはどのようなものが当てはまるのでしょうか。
公的年金とは厚生年金・国民年金・企業年金の3種類のことを言います。
アフィリエイトでの収入はインターネットオークションの収入:アフィリエイト広告や、出品した商品の売却で得た利益のことです。
原稿料は印税・講演料:本業以外の執筆や講演で得たお金になります。 FX取引等による所得や外貨建預貯金の為替差益も雑所得です。
雑所得は確定申告が必要?
サラリーマンの場合、本業で得ている給与所得以外の所得の合計が20万円以下の場合、確定申告は不要になります。
その他の所得に分類されている公的年金には、年金受給者には確定申告不要制度が適用されています。
公的年金の収入が年間400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下の場合は申告する必要はありません。
雑所得が20万円以下で確定申告が不要な場合
その他の所得が20万円以下で確定申告が不要となるのは、サラリーマンなど年末調整で所得が確定している人のみです。
ここで言う所得とは利益のことで、必要経費は含まれていません。
例えばネットオークションで20万円で品物を販売しても、送料や仕入れなどで2万円かかった場合、所得は18万円になり、申告する必要はありません。
雑所得が20万円以下で確定申告が必要な場合
・年収が2000万円を超えている
・医療費などの控除を受ける人
・フリーランスや個人事業主の人
・年末調整をしていない人
・同族会社の役員や家族
・同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている人
給与所得者でない人は、通常年末調整を行いませんので、その他の収入が20万円以下でも申請する必要があります。
申告する対象となる主な職種や人は上記の通りです。
フリーランス・個人事業主・年末調整をしていない人・同族会社の役員や家族・同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている人などです。
サラリーマンでも、年収が2000万円を超えていたり、医療費などの控除を受けたりする人は、確定申告がありますので、注意して下さい。
雑所得が20万円以下でも住民税の申告は必要
住民税は住所のある地方自治体に納める税金のことです。
住民税の申告は、その他の所得の合計が20万円以下の場合に申告する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
その他の取得が20万円以上の場合は確定申告を行います。税務署は各自治体に申告完了の旨を通知しますので、別途納税する必要はありません。
その他の所得が20万円以下の場合は、個人で役所に行き、住民税の申告を行います。住民税を滞納すると遅延税が発生しますので、必ず期日までに納めるようにしましょう。
雑所得の経費はどこまで認められる?
雑所得は、売上から必要経費を差し引いた金額になりますが、必要経費にはどんなものがあるのでしょうか。
例えばネットオークションで商品を販売する場合、ネットオークションサイトの使用料や商品の仕入れ価格、送料などが必要経費となります。利益を出すために必ず必要になるもの・ことが必要経費と考えて良いでしょう。
インターネットを使用するビジネスでは、その他にパソコン代やインターネット通信費も必要経費となります。講演を依頼された場合、交通費や昼食代が経費と見なされます。
不動産所得や事業所得など、利益が出ずにマイナスとなった場合、その他の所得と相殺することで損益を減らす方法がとられます。
経費は曖昧な数字で計上することはできず、領収書など証明するための書類が必要になります。
雑所得の税率と計算方法
基本的な雑所得の計算は、収入から必要経費を差し引いたものになります。税額は、所得金額に税率をかけ、そこから控除額を差し引いて算出されます。住民税は雑所得×10%で計算されますが、税率は一律ですので、所得金額に影響されません。
住民税は所得税の申告を行っていない場合に申告が必要になります。年間の雑所得合計が20万円以下のサラリーマンの場合、通常申告は不要ですので計算はあまり関係ないかもしれませんが、住民税の申告は忘れないようにしましょう。
その他の所得が20万円以上になる場合は、税額を計算して申告します。その他の所得に該当するものはいくつか種類がありますが、基本は収入金額から必要経費を差し引いた額になります。例えば原稿料や講演料は、支払調書金額から必要経費を引いて計算されます。公的年金の場合は、公的年金の収入額から公的年金控除額を差し引きます。
もしマイナスの所得があった場合は、合計から損失を引くことで相殺が可能になります(20万円以下の場合は相殺することができません)。
例えばインターネットオークションで40万円の所得が合ったものの、不動産収入で20万円のマイナスが出てしまった場合、40万円から20万円を引いて総所得とします。
確定申告における雑所得の書き方は?
確定申告の用紙には雑所得の項目があります。項目には公的年金等とその他があり、必要な数字を記入していきます。公的年金またはその他だけ所得が発生した場合や、両方発生した場合などありますが、記載する項目を間違えないように注意しましょう。
公的年金等に記載する内容
公的年金等の対象になっている主なものには、国民年金・厚生年金・共済年金などがあります。以前勤務していた会社から支払われている年金や、恩給(一部恩給は含まれません)、そして自己負担部分を除いた適格退職金も対象になります。
遺族年金や生命保険などなどは含まれませんので注意が必要です。非課税または個人で加入する特徴があることなどが、公的年金とは見なされない理由に挙げられます。
公的年金の所得は、対象となるもの全てを合計した金額(1年分)から公的年金等控除額を差し引いて算出されます。控除額は65歳未満・65歳以上で異なり、収入額に応じて税率も変わってきます。65歳未満の場合70万円以下所得税がゼロになり、65歳以上の場合は120万円まで所得税がかかりません。
その他に記載する内容
公的年金等以外の所得は、その他の欄に記載します。公的年金とは区別され、9つの所得にも分類されないものが記載の対象となります。副業で得た収入(インターネットオークションやアフィリエイト収入、講演料、原稿料など)・単発で得た副収入・個人加入の年金などがそれにあたります。
1年間に発生した収入の合計から、収入を得るためにかかった経費を差し引いた額が、公的年金以外の雑所得となります。その年の年金額から必要経費を差し引きますが、必要経費加入している保険の種類によって異なります。年額についても、基本年金に増額年金や増加年金が加えられることもあります。計算方法については、加入している保険会社に問い合わせるのが無難です。
雑所得の確定申告に必要な添付書類
・確定申告書
・源泉徴収票
・控除を受けるための書類
確定申告書には、確定申告書A様式・B様式の2種類あります。A様式はサラリーマンなど給与所得者や、年金受給者など特定の人向けで、B様式は一般に誰でも利用できるタイプです。個人事業主や農業に従事している人、不動産オーナーや主婦などは、B様式を選ぶと失敗しません。
申告の際は、給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)を準備する必要があります。私的年金を利用している人は、支払金額を証明できる書類などが必要となります。
確定申告に必要なおもな添付書類は以下のとおりです。
・医療費の領収書…医療機関を利用した際に、料金を支払ったことを証明します。
・社会保険料、生命保険の控除証明書…払い込んだ社会保険料や、生命保険料の納付額が記載されています。 添付書類は多岐にわたります。提出前に不備がないかどうか確認しましょう。
まとめ
雑所得は、その他に分類される所得で、公的年金・公的年金以外の所得の2種類に大きく分けられます。すべての所得に対して申告する必要はなく、基本的には20万円以上が確定申告の対象になります。この基準には条件があり、該当しない場合は20万円以下でも申告が必要です。
その他の所得は通常、収入から必要経費を差し引いた額になります。申告書に記載する際は、それぞれの項目にあった算出方法で計算していきます。基本的に計算はシンプルですが、私的年金の計算など利用している保険の種類によって計算方法が異なりますので、注意が必要です。
確定申告書は2種類ありますので、自分の職種にあった様式を選びます。税務署に提出する際は、申告書の他に添付書類が複数必要になることもありますので、忘れずに準備しておきましょう。