2018.05.25
雇用保険

雇用保険とは?加入条件や対象者・支払い方法等をご紹介!

「雇用保険とは?加入条件・加入対象者!支払い方法と期間をご紹介!」

雇用保険は政府が管掌する強制保険制度です。雇用保険制度は労働者を雇用する事業者は強制的に適用されます。雇用保険は、雇用に関する統合的機能の制度で、2事業を実施しています。第1に労働者が失業して所得を喪失した場合に適用されます。労働者の雇用継続が困難な場合、労働者が職業に関する教育訓練を受講した場合に生活と雇用の安定と就職の促進の失業等給付を支給します。第2に失業の予防です。雇用状態の是正、雇用機会の増大、労働者の能力開発と向上、労働者の福祉の増進を図る事業を実施しています。

 

「雇用保険とは?雇用保険の内容は?」

雇用保険は、労働者の雇用の安定や促進を目的にした公的な保険制度です。失業した際に一定期間給付金を受け取り可能な「基本手当(失業給付金)」が有名です。以前は失業保険や失業手当と称された時代がありました。「基本手当」は、一定期間雇用保険に加入していた労働者が失業した場合、求職活動を行っている間、公共職業安定所(ハローワーク)から毎月一定額の給付金が支給されます。これを「基本手当(失業給付)」と言います。

求職者向けの給付金は「基本手当」以外に以下の給付を受け取り可能です。①「教育訓練給付」制度があります。従業員が教育訓練を受講する際の費用を援助する給付です。②「高年齢雇用継続基本給付」制度があります。高齢者の就労継続を援助する給付です。③「育児休業給付」制度があります。育児休業期間中に支払われる給付です。④「介護休業給付」制度があります。介護休業期間中に支払われる給付です。以上の給付金支給はハローワークの窓口で相談してみましょう。

 

「雇用保険の種類は?加入条件と加入対象者の紹介!」

雇用保険の種類は何があるのでしょうか?

 

第1に加入者(被保険者)向けの制度です。

加入者(被保険者)も雇用形態や・年齢により区分けしています。①「一般被保険者」があります。フルタイムで就業する一般社員や、勤務日数・勤務時間が一定水準を超える派遣社員やパートタイマーなどの非正規労働者に適用します。②「高年齢継続被保険者」があります。一般被保険者で65歳以上の方々に適用します。③「日雇労働被保険者」があります。日雇い労働者に適用します。雇用保険制度での日雇い労働者は、雇用期間の定めが無く日ごとに単発の仕事をしている人や、雇用期間が30日以内の人が対象です。建設現場や港湾運輸・農林水産の土工・荷扱夫・雑役・人夫の仕事が該当します。④「短期雇用特例被保険者」があります。季節的労働者に適用します。雇用契約期間が1年未満、仕事の内容が季節の影響を受ける特定の季節に雇用される人が対象です。スキー場で冬場に雇用される人、海の家で夏季に雇用される方々等です。

 

第2に企業(会社)向けの制度です。

就業者の失業を防止目的に、主に中小企業を対象にした助成金や給付金が支給されます。①「キャリアアップ助成金」があります。非正規雇用就業者のキャリアアップ促進を目的にしています。実施した事業主に対して助成金を給付します。②「特定就職困難者雇用開発助成金」があります。高齢者・障害者・母子家庭の母の就職困難者を雇用した会社に賃金の一部を補助します。③「トライアル雇用奨励金」があります。職業経験・技能・技術・知識が不十分で安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した場合に助成金を給付します。

雇用保険制度は、社会保険の仲間です。社会保険は「医療保険(健康保険)」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5制度あります。雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と称します。社会保険につきましてはまた別の機会に説明できたらと思います。

 

「雇用保険料の計算方式は?」

雇用保険料は毎月変動します。社会保険料は原則1年間保険料が変わりません。雇用保険料は「当月の給与総額」に「雇用保険料率」を掛けて算出します。各月の手当の変動で給与額が変動すると雇用保険料も変化します。雇用保険料は毎月計算する必要があります。雇用保険料の算出方法は、「雇用保険料」=「毎月の給与総額」×「雇用保険料率」です。雇用保険料は労働者(被保険者)と事業主が一定の割合で支払う仕組みになっています。また、「雇用保険料率」は業種により、労働者負担率・事業主(企業)負担率が異なります。雇用保険料率表は下記に示します。

事業の種類

労働者負担率

事業主負担率

①+②

雇用保険料率

一般の事業 3 / 1,000 6 / 1,000 9 / 1,000
農林水産・清酒製造事業 4 / 1,000 7 / 1,000 11 / 1,000
建設の事業 4 / 1,000 8 / 1,000 12 / 1,000

労働者(被保険者)は3/1,000~4/1,000を負担します。例えば、一般の事業で月額報酬を30万円得ているケースは、900円の負担。一般の事業以外で月額報酬を30万円得ているケースでは、1,200円の負担をします。

 

「雇用保険料の支払方法と支払時期の説明!」

雇用保険料は労働者(被保険者)と事業主(企業)で負担します。雇用保険料は毎月計算して、毎月の給与総額から控除します。給与システムを導入している事業主(企業)は自動的に雇用保険料を計算し給与明細票に反映します。また、賞与(ボーナス)の雇用保険料も同様に月例給与とは別に控除します。賞与に対する雇用保険料を賞与支給額に負担率を乗じた保険料を算出し控除します。

事業主(企業)は、事前に労働者(被保険者)から徴収した保険料と事業主(企業)負担の保険料を合算します。納付申請書を起票して年に1度まとめて申告・納付します。納付期間は毎年6月1日~7月10日までに、労働局(労働基準監督署)に納付します。公共職業安定所(ハローワーク)では申告・納付は出来ません。

 

「雇用保険料率に個人差はあるのか?」

雇用保険料率に個人差はあるのでしょうか?就業している業界によって雇用保険料率が異なります。農林水産業界・清酒製造業界・建設業界は毎月の給与支給額の0.4%、それ以外の業界は毎月の給与支給額の0.3%です。夏期・冬期に支給される賞与も同様に賞与支給額に前記の雇用保険料率を乗算した保険料が控除されます。選択の自由は無く、労働者を雇用する事業者は労働者(被保険者)から強制的に徴収されます。

 

「雇用保険が助けてくれます!」

雇用保険の「基本手当」は、被保険者(労働者)の方々が、定年・倒産・契約期間の満了により離職し、失業中の生活を心配せず、1日も早く再就職するために支給されます。雇用保険の一般被保険者(労働者)に対する求職者給付の「基本手当」の所定給付日数(基本手当の受給日数)は、離職日の年齢・雇用保険の被保険者であった期間・離職の理由によって決まり、90日~360日間「基本手当」が支給されます。特に倒産・解雇で再就職の準備期間無くして離職を余儀なくされた受給資格者は、他の離職者より手厚い給付日数となる場合があります。

雇用保険制度の「公共職業訓練」を受講する場合は、公共職業安定所(ハローワーク)で「職業相談」で、再就職を目的にした公共職業訓練を受講する必要があると認められた場合、公共職業訓練受講の認定がされます。また、失業中で求職者が公共職業訓練の案内を確認して訓練の受講希望があれば、担当窓口で面談して公共職業訓練の受講が認められるケースがあります。「基本手当」受給中の方々は、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。さらに訓練受講に要する費用として、「受講手当」「通所手当」が支給されます。

 

「まとめ」

雇用保険は身近な社会保険制度です。雇用保険制度上での「失業」は、単純に離職して無職の状態ではありません。求職者に対する「失業」で就業を目的にした意思がある状態を示します。「基本手当」支給認定日までに就職活動の実績が無い場合は支給されない事があります。また、「基本手当」を受給する際に、離職票提出後7日間の待機期間があり、自己都合による退職では7日間の待機期間に加えて3か月間「基本手当」の受給が出来ない給付制限があります。無計画に退職すると収入が途絶えるケースや再就職に悪影響(再就業先での採用面接で離職した事由を確認されます)及ぼす可能性があるため、雇用保険条件を考慮し、計画性をもって退職することをお勧めします。

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