2018.06.01
社会保険

「社会保険とは?加入条件・加入対象者、支払い方法と期間、加入するメリットとデメリットを紹介!」

社会保険は政府が管掌する強制保険制度です。社会保険には、「医療保険(健康保険)」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5制度あります。雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と称します。

 

社会保険は日本の社会保障制度で、病気・怪我・事故・事故・失業・老後の生活に備えて、国民の生活を保障するために用意した公的な保険制度です。国・都道府県・市区町村の公的機関が運営し、加入者(被保険者)が支払う保険料・自己負担金により運営されています。

 

社会保険の中で「医療保険(健康保険)」は、市区町村が運営する国民健康保険と民間の健康保険組合が協会けんぽを運営しています。また、「年金保険」は企業と加入する厚生年金と個人・自営業者が加入する国民年金がありますが、日本年金機能が運営しています。

1.医療保険(健康保険)

1-1. 医療保険(健康保険)とは?

医療保険は、病気・怪我・出産・死亡に対する保障制度です。前記事象が発生した際に必要な費用の一部が負担または支給されます。企業に雇用されている会社員は「健康保険」、個人・自営業者・短時間労働者は「国民健康保険」に加入します。日本は皆保険制度ですので「健康保険」「国民健康保険」のどちらかに加入する義務があります。

 

1-2.加入条件は?

1-2-1.健康保険

適用対象の事業所は以下となります。

・事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人

・常時使用の従業員が5人以上いる、一部の業種を除く個人事業所

 

1-2-2.国民健康保険

国民健康保険は、健康保険に加入していない方が対象です。主に当該の市区町村に居住している方、職場の健康保険に未加入者、生活保護を未受給者、国民健康保険組合に未加入者が対象です。加入意思に関わらず、国民健康保険は強制加入されます。

 

1-3.加入対象者は?

1-3-1.健康保険

企業に雇用されている会社員は、国籍・性別・年齢・賃金に関係無く、全てが加入対象者(被保険者)になります

 

1-3-2.国民健康保険

企業に雇用されている会社員以外は、国籍・性別・年齢・賃金に関係無く、全てが加入意思に関わらず、国民健康保険は強制加入されます。

 

1-4.保険料の支払方法は?

1-4-1.健康保険

健康保険は、毎年4月~6月の3か月間の給与の平均額から標準報酬月額の等級が算定されます。算定された保険料は9月分の給与から天引きされます。

 

1-4-2.国民健康保険

国民健康保険料は、口座振替での納付・納付書での納付・スマートフォン・携帯電話機での納付・年金からの差し引きよる納付の4種類があります。年金差し引きは特別徴収です。

 

1-5.保険料の支払期間は?

1-5-1.健康保険

健康保険の保険料は給与天引きさせるので、企業が保険料を納付します。

 

1-5-2.国民健康保険

国民健康保険料は、納付書で納付する場合に支払期限があります。毎月月末日が納付期限です。月末までに保険料を納付しないと、督促状が送付されます。

 

1-6.医療保険のメリット・デメリットは?

日本は国民皆保険制度が導入されています。メリットは、①健康保険(協会けんぽ)の場合、厚生年金と一緒に加入出来ます。②健康保険料の半額は会社負担であることです。国民健康保険の場合は、全額自己負担です。③生活保障のため傷病手当金・出産手当金制度があります。国民健康保険の場合、前記手当はありません。➃扶養制度があるため、家族全員で健康保険を利用可能で、保険料金を抑えることが可能です。デメリットはありません。

 

2.年金保険

2-1. 年金保険とは?

年金保険制度は、老後の生活・障害・死亡に対する保障制度です。企業に雇用されている会社員は「厚生年金保険」、個人・自営業者は「国民年金」への加入が義務付けられています。

 

2-2.加入条件は?

2-2-1.厚生年金保険

厚生年金保険は、企業に雇用されている会社員が加入します。保険料は企業と従業員双方で同額を支払います。

 

2-2-2国民年金

国民年金は、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方は全て国民年金への加入が義務化されています。前章の厚生年金保険には、国民年金保険の掛金が含有されています。

 

2-3.加入対象者は?

2-3-1.厚生年金保険

厚生年金保険は、企業に雇用されている会社員が加入します。また、農業・漁業の農林水産業、弁護士の法務業、宗教業を経営する個人事業所は対象外です。

 

2-3-2.国民年金保険

日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方は全て国民年金への加入が義務化されています。企業に雇用されている会社員は厚生年金保険に加入しているので、対象外です。個人・自営業者・農業・漁業に従事している方が対象です。

 

2-4.保険料の支払方法は?

2-4-1.厚生年金保険

厚生年金保険料は給与天引きさせるので、企業が保険料を納付します。

 

2-4-2.国民年金保険

平成30年度の国民年金保険料は、16,340円です。口座振替か納付書を用いて支払います。

 

2-5.保険料の支払期間は?

2-5-1.厚生年金保険

雇用されている企業を退職するまで支払います。

 

2-5-2.国民年金保険

国民健年金保険料は、納付書で納付する場合に支払期限があります。納付期限までに保険料を納付しないと、督促状が送付されます。保険料の納付が経済的に厳しい方向けに保険料免除・減免・納付猶予の措置が用意されています。

 

2-6.年金保険のメリット・デメリットは?

2-6-1.厚生年金保険

毎月の給与から天引きされる保険料と同額を企業が負担することです。年金が支給される際は「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」と国民年金加入者より給付額が増えます。デメリットは配偶者がアルバイト・パート勤務で一定額を超えると厚生年金保険の加入を求められます。本人と配偶者の手取り収入が見かけ上減額されます。

 

2-6-2.国民年金保険

国民年金保険加入者は老齢基礎年金と言う低額な年金保障しかありません。将来を見据えて自分自身で備えを用意する必要があります。

 

3.介護保険

3-1. 介護保険とは?

介護保険制度とは、高齢者・老化で介護が必要な人に対する保障制度で、40歳以上の人に加入が義務付けられています。訪問介護・老人福祉施設の利用サービスを受けられます。以上が第1被保険者です。

他に第2号保険者は、40歳~64歳までにまでに16種類の特定疾患に罹患し、介護が必要と認定されたケースは介護保険サービスを受けることが出来ます。

 

3-2.加入条件は?

介護保険被保険者は、40歳~64歳までの医療保険加入者です。65歳以上の方も対象で年金から天引きされます。

 

3-3.加入対象者は?

40歳以上の全国民が対象です。

 

3-4.保険料の支払方法は?

40歳以上の方は介護保険料を納める義務があります。①40歳~64歳の方は、健康保険料(協会けんぽ)と合わせて支払します。給与天引きの方は介護保険料が合算されています。また、国民健康保険の加入の方は保険料に合算して支払います。

②65歳以上の方は、支給される年金から天引きされます。この支払い方法を特別徴収と言います。特別徴収に該当しない方は、口座振替・納付書で納付になります。この支払い方法を普通徴収と言います。

 

3-5.保険料の支払期間は?

介護保険料は、40歳以上の方は一生涯支払います。

 

3-6.介護保険のメリット・デメリットは?

2000年スタートの介護保険利用料は、1割の自己負担でした。近年は年収により2割に自己負担に移行し始めています。財務省・厚労省では、2020年度からの介護保険制度改定で自己負担額が上昇させる検討をしています。自己負担増額は大きなデメリットです。

 

4.雇用保険

4-1. 雇用保険とは?

失業時に役立つ雇用保険制度です。失業した際に一定期間給付金を受け取り可能な「基本手当(失業給付)」が有名です。他に「教育訓練給付」「育児休業給付」「介護休業給付」「キャリアアップ助成金」「トライアル雇用奨励金」の給付があります。

 

4-2.加入条件は?

事業所に雇用される労働者(会社員)は雇用保険の被保険者になります。

 

4-3.加入対象者は?

①31日以上引き続き雇用されることが見込まれる労働者です。②1週間の所定労働時間が 20 時間以上である労働者が対象です。

 

4-4.保険料の支払方法は?

従業員を雇用している企業・団体が保険料申告書作成後、労働保険料と合わせて一緒に申告・納付します。

 

4-5.保険料の支払期間は?

労働者(会社員)は支払うことはありません。雇用している企業・団体が、3期に分けて納付する仕組みになっています。

 

4-6.雇用保険のメリット・デメリットは?

メリットは就業していた企業・団体が倒産した際、人員整理で解雇された際は、基本手当(失業給付金)が7日間の待機期間を経過すると支給されます。デメリットは、自己都合で退職した際は、基本手当の所定給付日数が短くなるだけでなく、給付制限があり支給開始日が3ヶ月遅れます。

 

5.労働者災害補償保険(労災保険)

5-1. 労働者災害補償保険とは?

業務中・通勤中の事故・災害で病気・怪我・傷害・致死に対して補償を行う制度です。一時金・遺族年金の給付金の受領ができます。災害に遭遇した労働者への社会復帰・遺族への援助を行う制度です。

 

5-2.加入条件は?

企業・団体などの事業所が加入して、その組織内で働く方全員に適用される保険です。

 

5-3.加入対象者は?

企業・団体で働く従業員全員が対象です。自分自身で加入する選択権はありません。

 

5-4.保険料の支払方法は?

労働者(会社員)は支払うことはありません。雇用している企業・団体が、一括納付します。

 

5-5.保険料の支払期間は?

労働者(会社員)は支払うことはありません。雇用している企業・団体が7月10日までに納付します。

 

5-6.労災保険のメリット・デメリットは?

デメリットはありません。労働基準法に基づき、労働者(会社員)が就業中・移動中・通勤中に生じた事故に対する業務上災害について、使用者(企業・団体)が補償する制度です。

 

まとめ

社会保険は自分自身で選択出来る保険ではありません。保険料も法律で定められた金額を収めます。また企業が負担する金額も同様です。最近は、労働者(会社員)から徴収する保険料が毎年値上がり、保険を利用した際の自己負担率も値上がりしています。最終的には自分自身・家族に還元される保険制度ですので、正しく理解し最大限活用しましょう。

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