- 2025.12.26
- 申告
「それ、経費で落ちますか?」税務署が厳しくチェックする交際費と福利厚生の境界線

「これは経費で落ちるだろう」と軽く考えていた出費が、税務調査で「役員賞与(個人の所得)」とみなされ、多額の追徴課税を受けてしまう……。経営者にとって、これほど避けたい事態はありません。
特に線引きが曖昧になりがちなのが「交際費」と「福利厚生費」です。最近の税務調査のトレンドを踏まえ、税務署がどこをチェックしているのか、その境界線を解説します。
1. なぜ「交際費」と「福利厚生費」が狙われるのか?
税務署がこの2つを厳しく見る理由は、そこに「社長個人の私的な支出」が混じりやすいからです。
福利厚生費:原則、全社員が平等に受けられるもの(節税効果が高い)。
交際費:取引先など社外の人との関係構築のためのもの(資本金により損金算入限度額がある)。
役員賞与(否認):実質的に「社長個人の飲み食い」と判断されたもの。
もし「福利厚生費」として処理していたものが「社長個人の支出」と認定されると、会社の経費にならないばかりか、社長個人に所得税がかかり、さらに重加算税などのペナルティが課されるダブルパンチとなります。
2. 税務署はここを見る!チェックの「3大ポイント」
① 「誰と」行ったのか?(記録の有無)
領収書の裏に「相手先の社名・氏名」を記載するのは基本中の基本です。
最近では、「身内だけの食事なのに、取引先の名前を借りていないか」を厳しく見られます。SNSの投稿内容と照らし合わせられるケースもあるため、整合性には注意が必要です。
② 「全員に参加資格」があるか?(福利厚生の条件)
社内の打ち上げを「福利厚生費」にするには、「全従業員が対象であること」が条件です。
「役員や特定の管理職だけで行った高級店」での食事は、福利厚生費ではなく交際費、あるいは役員賞与とみなされる可能性が非常に高いです。
③ 「金額と頻度」は常識の範囲内か?
1人5,000円以下の飲食費(交際費の除外規定)を活用している場合でも、毎日のように同じ相手と繰り返していれば「本当に業務に関連があるのか?」と疑われます。また、あまりに高額な福利厚生(例:豪華すぎる社員旅行)は、給与として課税されるリスクがあります。
3. 最近増えている「グレーゾーン」の判断基準
近年、特に相談が多い事例をまとめました。
| ワーケーション | 観光メインなら「給与」。業務の記録(会議議事録や成果物)が必須。
| 高級時計・スーツ | 原則「私物」扱い。仕事でしか使わないとしても経費化は困難。
| ゴルフ代 | 基本は「交際費」。取引先との関係維持を説明できること。
| ランチミーティング | 1人1,000円〜2,000円程度の範囲なら「会議費」として認められやすい。
4. 対策:税務調査で負けないための「証拠」の残し方
「正しく経費にする」ために、今日からできる対策は以下の3点です。
1. 議事録や案内文を残す:社内イベントなら全社員に送ったメール、打ち合わせなら簡単なアジェンダを残しておくだけで、福利厚生や会議費としての説得力が格増します。
2. クレジットカードを使い分ける:プライベート用と事業用を完全に分けるのは鉄則です。
3. 「なぜ必要か」を説明できるようにする:税務調査官に聞かれた際、その支出がどう売上に繋がるのかを論理的に説明できることが重要です。
まとめ:判断に迷ったらプロに相談を
「これ、経費でいけるかな?」と迷ったときは、その直感が正しいことが多いです。つまり、何らかの「グレーな要素」があるということです。
「これは大丈夫?」と不安な支出がある方は、お気軽にご相談ください。